最新の見聞録
あわら市の温泉街から少し南に下った閑静な通りに佇む数寄屋造りの日本家屋。3年前に開店した『蕎麦処 善右ェ門』である。看板がなければ見落としてしまいそうな邸宅風のこの店は、今ではそば通の間で知られる存在。玄関を入ると調度品が飾られ、ゆったりとした座敷の奥には美しい日本庭園が広がる。
「うちのそばは玄そばからこだわっているので、よそとは違うと思いますよ」と快活な口調で話すのはご主人の高戸善右ェ門さん(58)。頭にバンダナを巻き、闊達な表情を見せるご主人だが、5年前までは大手電話会社に勤務する企業人だった。
「希望退職で早期に会社を辞めたんです。それを機にますますそばにのめり込むようになりました」。食べ歩きは県内だけでなく、石川や長野などにも遠征。そば打ちは池田をはじめ、武生、今庄のそば道場をめぐり腕を磨いた。自宅でそば会を開き、友人をもてなすなどしてそばの味を披露するうち次第に「これなら店を開いてもやっていける」と確信するようになり、3年前、満を持して開店。10年前に建てた自宅を店として改築して開業した。
ご主人が開店時からこだわっているのが、素材であるそば粉である。「そばは素材が第一です。使っているのは契約農家で栽培してもらった丸岡産在来種の玄そば。その日に使う分だけを自家製粉しています」と自信に満ちた表情を見せる。
ストックしてある玄そばは一年分。脱酸素材を入れ、真空パックしたものを店の奥の大型保冷庫で湿度・温度を一定に保ち、鮮度をキープして保存している。「これからの時期は特に劣化しやすいので、管理をしっかりすることでそばの質が違ってきます」と、徹底したこだわりを見せる。
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