最新の見聞録
「二八」という言葉はそば粉8に対し、つなぎを2入れたそばという意味で使われていることが多い。しかし、辞書を引くと、江戸時代にそばが一杯十六文だったことから「二八=十六」に引っかけて、そば店の代名詞として二八という言葉が使われるようになったという説も語られている。今回ご紹介するのはそんな二八という言葉をずばり店名にした『おろしそば 二八』である。
ご主人の桑原孝さん(69)は、「父親が趣味でそば打ちをやっていたことに影響されて、そばが好きになりました」という根っからのそば好き。社会人になってからは、週の半分近くはそばを食べ歩くようになる。30歳の頃に包装材料の卸会社を設立し、以後は経営者として仕事に奔走。
「あちこちに出張することが多かったので、各地でそばを食べましたね」と、仕事の傍らそばを食べ歩く日々が続く。そば打ちを始めたのは、会社が軌道に乗り始めた50代の頃。「ほとんど独学ですね。試行錯誤を重ねて習得しました」と、自己研究を重ね、腕を磨いていく。そのうち、そば会などで人にふるまうことも増え、次第に周りでそばが評判になっていく。
そば店を始めたのは還暦の歳。「息子が東京から帰ってきて会社を継ぐことになったので、これからは好きなことをしようと思いました」とそば店を開くことを決意する。店の設計は石川県のそば好きの設計士に依頼。玄関には水が流れ、中は和風のしっとりと落ち着いた風情が漂う。
メニューは、そばで勝負したいという気持ちの表れから4種類のみ。「宣伝はしていません。お客さんがたくさんになるとどうしても粗相になってしまいますので」と言うが、口コミで評判は広がり、今では固定ファンもついている。
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