最新の見聞録
丸岡インター近く、大通りから小道を入ると一軒の洒落た建物が目に入る。コンクリートを使ったモダンな外観、大きなガラス張りの客席、石を敷き詰めたテラス風のスペース――。
一見するとカフェかレストランのような趣だが、ここはまぎれもないそば店。よく見れば石庭に石臼を使っていたりと、そば店らしいエッセンスがさりげなくちりばめられている。
「最初は福井で店をやっていたんです」。そう話すのは、4年前にこの場所に新築移転した『大宮亭』の代表取締役・本谷充さんだ。本谷社長がこの道に入ったのはおよそ30年前。大学を辞め、好きだった料理の世界に飛び込み、福井市大宮に店を出す。
「大宮でやっていたから『大宮亭』なんです」というその店は、10坪半ほどのこじんまりとした構え。いわゆる大衆食堂のような店だった。その後、ほどなくして、生まれ故郷である丸岡に移転。国道8号線沿いという立地の良さもあり店は繁盛した。「ジャンボ海老天そば」といった看板メニューも定着し、地元ではすっかりおなじみの店となった。
しかし国道8号線の拡幅工事に伴い、現在の場所に移転する。
この時に本谷社長が思ったのは、
「田舎風のそば店をやめよう、そば屋らしくないそば店を作ろう」ということ。有名なファッションデザイナーの自宅の設計を手掛けたという建築家に店舗設計を依頼し、洋のテイストを取り入れた店づくりをめざした。これまでのイメージを覆し、ガラリと雰囲気を変えることはかなりの冒険だったが、「思いきってやってみたかった。命がけでした」と当時の決意を振り返る本谷社長。
もう一つ店づくりでこだわったのがバリアフリーだ。自身が体調を壊し足を悪くしたことから、車イスでも来店しやすいようにと通路を広くとり、段差をなくして誰でも来店しやすいような店づくりに心を配った。
そうして完成したのが、ゆったりとした空間にジャズのやわらかなBGMが流れるそば店。落ち着ついた時間を過ごせるうえに、心地よさへの配慮が人気となり、カップルなど客層も広がったという。
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