最新の見聞録
「そば粉あります」。
勝山市栄町の細い道を入っていくと、昔ながらの家並みが続くなか、そんな文字が目に留まる。表には年季の入った「粉」「石臼製粉承所」の看板。それが、『手打ちそば 八助』の目印である。店内に入ると、左手にはテーブルとカウンター席、そして右手には大きな石臼のある製粉スペースがある。そう、この店はそば店と製粉所が一体となったスタイルで営業しているのである。
↑店内は昔ながらの外観とは違い、古き良き時代と現代のテイストとをミックスしたモダンな雰囲気である。
「両親がここで製粉所を営んでいたんです」と話すのは、ご主人の義野正雄さん。「両親が引退したのを機に、自分がやるようになりました。55歳のときです。それまでは手伝いなどしたこともなかったんですけどね」。しかし、一旦粉挽きの仕事をやり始めたら次第に面白くなり始めた。そのうち、「自分でそばを打ってみないと、そば粉を挽いてほしいとやってくるお客さんと話ができないと思うようになり、そば打ちを始めました」。そんなきっかけで始めたそば打ちに、次第に夢中になっていくご主人。そば粉を挽くかたわら、暇があるとそばを打つという日々が続く。そうしているうち、「60歳を過ぎて年金生活するだけでは物足りない、人生最後に何かやりたい、という思いが強くなっていったんです」。
そんな気持ちがふくらんで、そば店の開店を決意。お客様に出すからには我流ではいけないと、金津のそば店で1年間みっちり修業、その後平成13年10月、59歳で開店する。
「とにかく夢中でしたね。今、そろばんはじいたら、恐ろしくてできないかもしれません」と笑うご主人。開店時は、口コミのみでのスタート。明治27年に建てられたという建物をベースに、内装は古民家風のインテリアに。店名の『八助』は義野家の屋号を使った。先代から受け継いだものを活かしての開業である。
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